2020/9/25

言葉のちから その187

言葉のちから  【生まれてくる命】

突然、見ず知らずのおばあさんが私のお腹をさすりはじめました。
そして、こう言ったのです・・・・・
・・・・・私は、涙があふれだし、声をあげて泣いてしまいました。
私は子どものころから、お金には恵まれない生活続きでした。
現在の主人も多額の事業用借金があります。
3人目の子どもを授かったのがわかったとき、
経済的問題に疲れ切っていた私は、良くないことを考えてしまいました。
自信がなかった。
こんな状態で子どもをもう1人育てるなんて・・・・私にはとても出来ない。
悩んで悩んで、悩んだ挙句、
病院に行ったけど、結局、それも私には出来なかった。
ずーっと、悩みながら、お腹はどんどん大きくなっていきました。
8ヵ月ごろのことです。
定期検診の帰りの、バス停でのことです。
ベンチには、おばあさんが1人バスを待っていました。
私は、横に座りました。
私は数日後の支払いなどで頭がいっぱいでした。
生まれてくるこの子をどうやって育てればいいんだろう。
相変わらず、私の頭はそんな不安でいっぱいでした。
すると突然、見ず知らずのそのおばあさんが私のお腹をさすりはじめました。
そして、こう言ったのです。
「大丈夫、大丈夫だよ。心配いらん。 安心して、産みなさい。
 この子は、ちゃんとくいぶち持って生まれて来るから」
私はびっくりして、おばあさんの顔を見ました。
すごく優しい、しわくちゃの笑顔でした。
私は、涙があふれだし、声をあげて泣いてしまいました。
大人になって人前で泣いたことなんてないのに、止めることが出来ませんでした。
おばあさんは、そんな私の肩をもさすりながら、「この子は、あんたを選んで生まれてくるんだよ。  あんただから、生まれてくるんだよ。
 大丈夫、大丈夫。あんたは大丈夫だぁ。」
乗るバスがきても、 バスが行ってしまっても、
まだ、私の身体をさすってくれていたおばあさんの手のあたたかさを
私は一生忘れません。
その時の子は今、小学4年生になりました。
家族を笑わせるのが大好きな、元気いっぱいの男の子です。
「ボクは、ずっとお母さんを守る」が、くちぐせのたのもしい子です。
家族みんなが、末っ子に癒され、気づかされ、救われています。