2020/4/3

言葉のちから その179

言葉のちから   【夢に向かって】

 作家になりたい人、文章を書きたい人からの質問に編集者の村松 恒平さんが

ズバリ答える「文章王」という本を読んでいる。

そのなかにこんなやりとりがある。

 

「私は24歳にもなって、まだフリーターであります。 それも、目標があってという訳ではないのです。 始めのうちは夢があってその為のフリーターだった訳ですが、

 そのうちに形が変わってしまい、 それで食べていくというのはあまりに大変で、

 またその為に強い信念をもって努力することができなくなって しまったのです。

 そのうちに、アルバイトの方に重心が傾いてしまい、 ささいなことで一喜一憂してしまって気がつけば、 もう4年も同じ環境で働いています」

 

さて、この方の質問に対して達人編集者・村松 恒平さんはどう答えるか?

注目です。村松さんの答えはこうです。

「ずっと、同じバイトをしていて、こんなことでいいのだろうか、 って思っているんだよね。

 いいのです、そんなことで」

いいのです、そんなことで。村松さんはこう続けます。

「自分の好きなものの方へはね、ずるずるっと、少しずつにじり寄ればいいのです。

 あまり極端な決意とかすると、挫折してしまうからね。 じりじりとアメーバーの如くに

 自分の好きなもののほうに身を寄せていけばいいのです。

 そういう小さな行動を起していると、不思議なことに磁石に吸い寄せられるように、

 いろんな情報とか人間とかが寄ってくるんだよね。

  そして新しい世界が展開してくる。つねに少しずつでいいから、自分の好きな方へ動き続けること。

 そう教えてくれたのは、僕の好きな作家の阿佐田哲也です」