2019/9/27

言葉のちから その125

言葉のちから   【偶然と必然】

 

手塚 治虫さんの傑作「ジャングル大帝レオ」。

ディズニー映画「ライオンキング」のオリジナル作品になもなり、全世界で共感を呼んだキャラクターだ。

このレオの誕生にしても、偶然の産物以外のなにものでもない。あるとき、動物のイラストを頼まれてライオンを書いていた。徹夜仕事ということもあり、オレンジ色の暗いライトの下で絵の具を塗っていた。

ところが、これを自然光の元で見ると薄くて白っぽい。

 

「失敗だ・・・・・。早く書き換えないと締め切りに間に合わない」と、気を取り直してもう一度描こうとする。

だが、このとき、彼のあたまの中には偶然を必然に転換する力が残っていたのである。

「これでいいんじゃない?」

 

レオが誕生した瞬間である。

 

「失敗した」と思う瞬間と、「これ、いいんじゃない?」とひらめいた瞬間。

この相田には時間的には一瞬の間しかなかったと思うが、この2点の距離はものすごく離れている。

偶然を必然に転換するとは、パワーが必要なのである。