2019/8/19

言葉のちから その96

言葉のちから     【負けることも必要】 

松下幸之助さんの話

シャープが小型電卓を開発して、シェア第1位。それにカシオが「答え一発」というキャッチフレーズで登場し、価格破壊で業界を席巻したことがある。当時、松下通工はワープロくらいの大きさの電卓を作っていたから、売り上げがばったっとと止まってしまった。そのため、クリスマスイブに経営会議が開かれ、電卓事業部は最後まで残された。
 担当事業部長は、在庫一掃計画についてとつとつと松下幸之助さんに説明したのだが、当の幸之助さんは次のように言うのである。

「きみ、もうこれは売れんのやろ?これは人力車が自動車に変わったようなもんや。無理して売っても、お客さんが後悔されるだけや。しゃあないな。全部捨てぃ。よう捨てられんかったら、わしが買たるわ」

この在庫が、当時の価格で6億円ぐらいはあったという。これで会議は終わり。立ち上がり帰りかけに、最後に振り向いて一言。

「これでみんな、さっぱりしたろ」

『問題解決ができる人。できない人』 中島孝志著

-引き際のよさも大切なことかもしれません。時代を見る目と腹をくくるだけの器量。