2019/8/11

言葉のちから その87

言葉のちから               【ジョエルマの奇跡】

 いのちの物語 「ジョエルマの奇跡」

 

1974年2月、ブラジル・サンパウロ市・25階建てのジョエルマ・ビル12階

で火災が発生した。

 

火はまたたく間に上階を炎と煙に包み込んだ。

多くの人々が逃げ場を失い次々と飛び降り、命を落としていった。

その時、15階では若い母親が3歳の息子を抱いたまま迫る炎と煙に途方にくれていた。

 

絶体絶命の窮地に陥った母は、周囲のカーテンを引きちぎり息子に巻きつけ、

意を決して猛火と煙の中を、息子と共に窓から身を躍らせた。

 

時速100Km/hに及ぶ加速度だと、普通は息子を抱き続けることはできない。

 

しかし、その母は最後まで息子を離さず抱きしめ続けた。

 

そのまま地上に激突し、母は即死した。しかし、息子は母親の身体がクッションになって怪我ひとつしなかった。

 

「この子だけは助けたい」という母の強い思いが生んだ奇跡として「ジョエルマの奇跡」とよばれるようになる。

 

 

- いのちを支える母と子の物語