2019/7/25

言葉のちから その71

言葉のちから  【 命 その1】     


彼が入院していた病院はガン専門の病院でした。
その小児病棟は、もちろんみんなガンを患っている子ばかりでした。
治る子はほんの一握りです。
ほとんどの子供は1年~2年で光の天使になってしまいます。
みなさん!!!!
自分のかわいい我が子が苦しい治療をしても死んでしまうという悲しみがわかりますか?
目の前にいる、このかわいい子を抱けなくなるという悲しみがわかりますか?
昼間の小児病棟は、とても明るくワイワイと賑やかです。  

どうしてだと思いますか?  

残された命は短いんだから、せめて一緒にいるときは楽しく素敵な思い出を作ろうと、それぞれのお母さんやお父さんが自分の深い悲しみをぐっとこらえて、明るく楽しくお子さんたちと接しておられるんです。そして子供たちが寝静まるころには、あちらこちらの病室から押し殺したようにみなさんの泣き声、慟哭が聞こえてきました。

「こんなに辛い思いをさせてごめんね・・・」
「痛かったよね、苦しかったよね・・・」
「もっと丈夫な体に生んであげられなくて、本当にごめんね・・・」
みなさんがみなさん、夜は涙を流し、昼は笑顔を絶やさずに毎日過ごされていました。
小児ガンの子供たちは、ものすごい優しい子が多いんです。
そして人を思いやる気持ちも大人以上でした。
きっと悲しみ苦しんでいるお母さんたちのことを気遣っているんだと思いました。

その子供たちは「ぼく、大人になれるかな~」
「わたし、大人になって看護婦さんになりたいな~」
「ぼく、いつまで生きられるんだろう・・・」
「わたし、死にたくない」
そうなんです。
彼らの夢が大人になることなんです!!! 
ほとんどの子供たちは、わたしたちが当たり前に思っている大人になる
こともなく亡くなってゆくんです。
大人でいられるって、すごいことなんですよ。
もっともっとしあわせに生きてゆこうじゃないですか!
もっともっと明るく生きてゆこうじゃないですか!
もっともっと楽しく生きてゆこうじゃないですか!
もっともっと笑って生きてゆこうじゃないですか!