2019/6/4

言葉のちから その19

言葉のちから  【たったひとこと】

「もう死にたい」
そう電話をかけてきた相手に心理学博士の小林正観さんはどう答えたと思いますか?

ある夜、正観さんの奥さんの友人が「もう死にたい」と電話をかけてきました。
急を要すると感じた正観さんは奥さんになんと言ったのか?

それは……「コロッケ!」です。たまたま北海道から送られてきたジャガイモが沢山あったので正観さんは奥さんに、そのジャガイモを一箱もって、「もう死にたい」と電話をかけてけてきた友人の家にすぐ行くよう指示します。   そして、その友人にこう頼むようにと。
「このジャガイモを全部使って、明日の朝までにコロッケを作ってほしい」
翌日、電話をかけてきた友人がコロッケをもってきてこう言ったそうです。

「コロッケを作ってと言われたことはうれしかった。朝までと言われたから、眠らずに夢中で作った。 夢中になって揚げた。 そうしたら、死にたいという気持ちがなくなっていました」

夜中でも、すぐに奥さんをかけつけさせた。そして、言葉で「死ぬな」と説得するのではなく
コロッケを作るという具体的な行動を起こさせました。人の心は言葉で動かないこともあります。
具体的な頼まれごとが「自分は必要とされている」と感じさせてくれることがあるのです。

死にたいという人に「コロッケ!」
奇想天外ですが、心の本質をとらえた見事な回答です。
こんな回答を、正観さんは0.3秒で出されたのです。

こんな例もあります。
ある社長さんが、持ちかけられた共同事業のことで悩んでいました。話をもちかけてきた方がいろいろと問題がある人だったからです。共同事業はやめようかと決断しかかっていたとき、
その社長さんは、正観さんに出会い、このことを相談してみました。
正観さんの答えは……「その方の短所はわかりました。 では、その方の長所を教えてくれませんか?」

このたった一言が、社長の人生を変えました。
この一言で、自分は人の欠点ばかり見ていたことに気づいたのだそうです。
反省した社長さんは、社員を管理するタイムカードを廃止して社員が早く出社したくなるような楽しい会社にしようと経営方針を変えました。すると、次々と商談が生まれ翌年は売上げが3割増、
翌々年には数倍の成長を遂げついには正観さんの本だけを販売する出版社さんもこの社長さんが立ち上げられました。正観さんは、相手をどう変えるか、という方策を指示したわけではありません。
自分の心の方向性を変える提案をしただけです。
でも、そうすると全てがうまくまわるようになったのです。