言葉のちから (愛国心)
「愛国心」という言葉が、政治の場でトレンドとなっております。
こういう言葉を政治家から聞くと、激しく拒否反応を示す人がいっぱいいらっしゃると思います。
わたしも、政治家からは聞きたくありません。
でも、亡きおじいちゃんが口にした「愛国心」は、いまでも心に残っています。
おじいちゃんは戦争中、スマトラ島で捕虜になりました。でも現地の人たちには、とっても優しくしてもらったそうです。
おじいちゃんは、パイナップルを上手にむけるのが、何よりの自慢でした。
「パイナップルはなあ、芯のココを上手に切るのがコツなんだよ。あっちの兵隊さんに教えてもらったから、本場仕込みだぞ」
と、酔っぱらうといつもパイナップルをむいていました。
おじいちゃんはしらふの時、ふと、小学生の私に言いました。
「ともみ、愛国心は、大事だぞ」
小ちゃな頃から社会に批判的だった私は、
「なんで?いまのニッポンはちっとも良くない。なんでこんな国を愛さなきゃいけんの?」
と反論したのを覚えています。
するとおじいちゃんは、穏やかに笑いながらこう答えたのです。
「あのなあ、愛国心とは、おじいちゃんが、おばあちゃんやお前のお母さんやお前を愛しているのと、同じことなんだよ」。
当時、私にはこの言葉の意味がさっぱり分かりませんでした。
~なんで?家族を愛することと、愛国心と、なんで一緒なの?~
でもね、やっと最近、分かるようになってきました。
国っていうのは「人」でできている。
その「人」の中には、わたしがいままで会ってきた数多くの「大好きな人」「大事な人」が含まれている。
自分が大好きな人が暮らす場所を、大好きだと思う気持ち、大事にしたいと思う気持ち。
おじいちゃんは、そのことを「愛国心」と言っていたんだよね。
おじいちゃんはこうも言った。
「お前はまだ小さいから、分からんか(笑)
でも、きっといつか、分かるときが来るよ」
はい。分かるときが来ました。おじいちゃん。
おじいちゃんが、「わしゃあ、おばあちゃんのことが大好きだ」と口癖のように言っていたこと、スマトラ島で捕虜になったことを「誇り」に思っていたこと。
その全部が、いまなら分かる気がします。