2019/9/3

言葉のちから その107

言葉のちから    【ピグマリオン効果】

 

「何歳になったら、くつを自分ではけるか」「服を自分で着られるようになるのは何歳か」など、幼児の成長過程を調べ、それと同時に、その母親に「一般的に、くつをはけるようになるのは何歳だと思うか」などの質問をし、統計をとった調査があります。この調査結果によると、あることを一般的に早くできると思っている母親の子どもは、やはりそのことを成長過程の早い時期にできている、という傾向があるようです。つまり、子どもがあることができるようになる時期を決定する大きな要因として、母親の考え方があるということです。    
 
 このことは幼児だけの問題ではなく、小学生でも中学生でも同じことがいえると思います。いつも自分がついていないと何もできないと思っている母親の子どもは、いつまでも自立心が芽生えません、また、失敗や悩みが成長には大切だと思っている母親の子どもは、そういう経験から何かを学び、成長することでしょう。    

 たとえば、1/3÷1/2という問題を考えた場合、この意味と計算の方法を、論 理的に子どもに教えることは、算数が専門の先生でも大変難しいことではないでしょ うか。割る方の分数をひっくり返して掛け算すればよいという計算の操作方法は教えることはできるかもしれません。しかし、どうしてそうしなければならないかということを、子どもが納得できるように教えることは、非常に難しいことでしょう。  

 "ピグマリオン効果"という心理学用語がありますが、これは、信じていることが現実になることをいいます。先生が、この生徒は本来は実力があるのできっと将来は伸びると思うか、あるいはこの生徒はまあこんなものだろうと思うか、このことが子どもの成績を先生が思う方向に変化させたという研究結果から、この用語は生まれました。  

 こういうことは、いつでもだれにでもあてはまるわけではありませんが、、一部の真実を語っていると思います。子どもといつも接している大人が、子どもというものをどのように考え、本当のところ、わが子をどんな子どもだと思っているのか、これは、子どもにとって本当に大切なことです。