2019/8/10

夏の風物詩 勉強合宿

さて、夏休みに入り、長雨-猛暑-台風と体にこたえますね。
 夏バテ対策は大丈夫ですか?
 かつては、クーラーなんて贅沢だと汗を流しながら夏期講習を担当したことが懐かしいです。九州はこの時期クマゼミの鳴く声で授業の声がかき消されるほど。
先生たちは、タオルを片手に流れる汗を拭いながら授業をしたものです。
 
 この時期の高3生などの受験生はどのように暮らしているのでしょうか。
 
 都市部では、予備校などの夏期講習に参加し、他校の生徒や予備校生、そして密度の濃いわかりやすい講師の先生の授業など、お金をかければ様々な機会を得ることができます。
 一方、地方では学校が実施する夏期講座が一日組まれていることが多いようです。
 また、地方の特色として学校を離れて山間部のホテルや旅館で缶詰になる「学習合宿」が行われている高校もあります。
 
 さて、この学習合宿。発祥の地は、長崎県だといわれています。
 昭和30年代には、島原の雲仙にて雲仙温泉の旅館街を中心に長崎県下の高校と旅館関係者で日程を調整し、勉強合宿が行われています。
 私は、昭和60年頃からこの学習合宿に教員として指導をしてきました。当時の雲仙の平均気温が22℃くらいでとても涼しくてクーラーがなくても快適に勉強ができました。部屋に風鈴をさげ「ちり〜ん ちり〜ん」となる部屋も。
24時間のうち睡眠が7時間、勉強が13時間、残り4時間が食事などのみのまわりのこと。これが11泊12日で行われます。1部屋4人程度で教室の机を持ち込み、集団生活をします。温泉があり食事も豪華ですので、みんな太って帰ります。
 毎日13時間の自学自習で、びっしりと計画を立ています。先生たちは居眠りの巡視と質問を受け付けます。部屋中に激励の張り紙がなされます。「一点集中」「後でやろうは、馬鹿野郎」「死ぬ気で勉強」など、いま思うと尋常ではない環境です。
 しかし、合宿後の効果は抜群で、合宿後に受ける模擬試験ではかなりの得点アップ。
 
 そして、お盆を過ぎて(たいがいお盆前には県内の高校の合宿が終了します)、後期の夏期講習が再開。そこで奇妙なことが起きます。
 クラスの3割程度に明らかに”燃えつき症候群”の生徒が見られるようになります。学習合宿で”やりきって”しまい、その後お盆を家族と過ごし、合宿前よりもモチベーションが低下してしまいます。
 
>>>>
 さて、令和になりこんな学習合宿が日本全国で展開されています。豪華なホテルの結婚式場などの広い部屋でクーラーで冷やしながら、無言で一斉に勉強をしています。昔と同じ光景です。
 
>>>>
 今大学で、入試改革を仕事にしています。受験にむけて、何が変わったのだろうかと思います。何も変わっていなのではないかとも思います。
 「夏を制する者、受験を制す」と、いまでも激励文の筆頭です。その夏は、今では命に危険を及ぼすほどの猛暑となり、夏休みは、かつては40日ほどあったものが、30日ほどとなっています。「夏で逆転」を目指している受験生の皆さん。「夏だけで逆転」を目指すと燃えつきてしまいますよ。受験はゴールではなく、新しい学びのスタートだと思います。