2019/7/20

リーディングとリスニング、100点:100点は適切か

共通テストの英語を考える

 センター試験の英語と共通テストの英語の筆記(リーディング)とリスニングの配点について、大きな変更がなされた。共通テストの英語はどのように変更され、その配点比率は適正なのかを考察をしてみた。高校生にもわかりやすいと思う一部分のみ掲載してみた。青くまでも私的な考察であることをご理解いただきたい。

表1:試行テスト(共通テスト)とセンター試験の配点ごとの設問数の違い

 

試行テスト

大学入試センター試験

 

H30試行テスト

H31年度

H30年度

H29年度

H28年度

 

リーディングR

筆記

筆記

筆記

筆記

設問数

43問

54問

54問

55問

55問

配点2点

20

17

17

17

17

  3点

12

  4点

14

14

10

10

5点

14

14

14

14

合計点

100点

200点

200点

200点

200点

 

 

 

 

 

 

 

リスニングL

リスニング

リスニング

リスニング

リスニング

設問数

37問

25問

25問

25問

25問

配点1点

 

 

 

 

  2点

 

25

25

25

25

 3点

 

 

 

 

4点

18

 

 

 

 

合計点

100点

50点

50点

50点

50点

R:Lの比率

ほぼ1:1

ほぼ2:1

ほぼ2:1

ほぼ2:1

ほぼ2:1

配点比率

1:1

4:1

4:1

4:1

4:1

試行テストのリーディングは、設問数37。うち3つ正解で4点が2つ、4つ正解で4点が1つ。
センター試験のリスニングは2回読み。 試行テストは第1問〜3問(A1〜A2)は2回読み 4問〜6問(A2〜B1)は1回読み
H29年の施行テストは配点公表なしのため掲載をしていません。

 表2:平成30年度の試行テストの構造(リーディング43問 リスニング37問)

CFERの段階

リーディング

リスニング

 

 

A1

中学卒業レベル

日常生活での基本的な表現ごく簡単なやり取り

A2

11

10

高校2年レベル

日常生活お身近な事柄のやり取り

B1

23

18

高校終了レベル

自分の意志と理由を表現。社会生活での身近な話題の理解

合計

43問

37問

 

 

新入試の英語に関して、入試選抜においても4技能をバランスよく評価することとした。

表2より、共通テスト(試行テストを参考に)におけるリーディングとリスニングの問題数、問題の難易度、問題の比率は、ともにほぼ1:1である。配点において、リスニングに4点の配点が多いのは、4つ正解で4点というようなセット問題が多いこともある。

 以上から考えると、問題の難易度はリーディング、リスニングともにほぼ同程度であることから100点:100点は妥当であると考える。

  従来のセンター試験では、設問数において筆記:リスニング=55問:25問であり、配点においてリスニングはすべて2点であり、筆記は4点、5点のものが多い。つまり、筆記とリスニングの総合点は筆記のほうを高くした問題設計が行われている。(200点:50点が妥当かは判断できない)

 センター試験を受験する生徒も共通テストを受験する生徒も、同じ学習指導要領のもと行われる入試である。A2〜B1の難易度の高い問題が1回読みとなるなどリスニングの問題の難易度全体が上昇する。

リーディングに関しては筆記で課されていた発音やアクセントの問題は廃止されるなど、これまでのセンター試験の難度に比べ、リーディングは軽くなりリスニングは重くなっている。

 *共通テストのリーディングとリスニングの配点は100:100が原則であり、基本である。
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 ここ10年間、日常生活の中で多くの外国の方と接する機会が増えたことを実感する人は多い。共通言語としての英語のを活用する機会は格段と増え、英語4技能の習得は喫緊の課題となった。
 先日、今回の新入試の英語を設計した文部科学省の担当者(教科調査官)のお話を聞く機会があった。
「今回の英語外部検定試験の導入、英語4技能の強化など、高校現場や入試での混乱は把握している。しかし、英語4技能の強化は「待ったなし」の現状。教育方針や教育内容を決める学習指導要領の改訂は10年ごとに行われる。現状に目をつぶって次の(10年後)学習指導要領で見直しましょうとはいかない。いろいろと課題が多いが、今改革を行わないと世界の潮流に乗り遅れるのではないか・・」というような趣旨の話があった。

 確かにそうだと、と思うのは私だけだろうか・・・。受験生には納得のいかない点も多いだろうが・・。だからこそ、確かな入試設計ができればと思うのだが。