2019/7/15

中高生へ 「ポートフォリオは何のため?」

中高生の皆さんへ
 
 高大研での話題の中から
 
 ポートフォリオが高校現場に急速に広まっています。
 ポートフォリオとは、もともとはファイル等の入れ物という意味です。
 ポートフォリオやポートフォリオを用いた評価は、学習履歴や活動履歴の蓄積をした元ポートフォリオをもとに、凝縮ポートフォリオ(ショーケースポートフォリオ)を作成し学習成果をプレゼンテーションを行ったり、まとめを作成したりすることで、自己評価や他者評価によって自己の成長のために行なうものです。 
 みなさんが部活動ノートを書いたり、日誌を書いたりしたものもポートフォリオです。それを顧問の先生に提出し交換日誌のように活用することで、目標が明確になったり成長の記録としてとても優れた実践と注目されています。
 また、課題研究などで調べた資料や実験観察データなど元データを蓄積したものもポートフォリオです。それらの資料を整理したり、実験結果をグラフ化したり、考察することでレポートを作成します。データや資料を単に蓄積したものを元ポートフォリオ、それをもとにグラフや考察などを加えてレポートにしたものが凝縮ポートフォリオ(ショーケースポートフォリオ)です。
 ポートフォリオは、元ポートフォリオから凝縮ポートフォリオを作成する「再構成」という作業が重要となってきます。凝縮ポートフォリオは、その目的に応じて様々な様式でまとめるができます。
 
 今日、高校現場で様々な活動をスマホから記録を入力するようになりましたが、それもポートフォリオといいます。多くの高校生は、初めてポートフォリオということがを聞いたかもしれません。その背景には、新入試では調査書が活動の記録を無制限に記入することができるようになり、書き落としがないように記録を蓄積知ることが重要だと考えられるようになりました。また、志望理由書や活動報告書の作成にも、作成するための正確な活動記録が必要だと考えられるようになりました。つまり、受験のためにポートフォリオが必要だと考えられています。
 
 しかし、本来のポートフォリオは自己の成長のためのもので、入試選抜のための準備に必要なものではありません。あくまでも、ポートフォリオの活用の一つに入試での活用があるだけのことです。
 
 また、先生方には「ポートフォリオをどのように評価するのですか?」という疑問があるようです。元ポートフォリオそのものを評価することはありません。なぜなら、元ポートフォリオには成功体験も失敗体験も、その時の自分の考え(批判も含め)などが書かれています。それは成長のために必要なステップですが、入試選抜の資料とするものではありません。
 一方、元ポートフォリオから作成した凝縮オートフォリオ(志望理由書や活動報告書)は、入試選抜の資料として大学が活用することがあります。求められる内容に応じて活動情報を取捨選択し、自己PRを行ったり、活動の成果を体系的に記載します。大学はその成果から多面的・総合的に評価を行います。
 
 このように、新入試においてポートフォリオが入試選抜に必要であると、極端に導入が進められたために、本来のポートフォリオの持つ教育機能が浸透されていない現状があります。
 
 この点は、山梨高大接続研究会でももっと深めていきましょう。