2019/6/30

偏差値35のFラン文系地方小規模大学?

受験生ならよく知るFランク大学。 
 
 先日、鈴鹿大学(三重県)での教育活動が出版されました。 自分の大学を自虐的にFラン文系地方大学と名乗っているものショックでした。
 一方で、Fランクが単なる受験偏差値による分類であり、その大学の教育研究の水準までランク付けしたものではありません。鈴鹿大学の取組は、大学がその資源を活用し学生の能力を引き出すことができた素晴らしい実践例だと思います。
 
記事には
 『鈴鹿大学の学生らが起業したベンチャー企業の体験をまとめた「おてがる起業読本」を、国際人間科学部の高見啓一准教授(40)と学生が発行し、5月末にも発売する。一読して、起業が「難しくない」「楽しそう」と思えるよう工夫したという。本のタイトルは「偏差値35のFラン文系地方小規模大学で学生ベンチャーをつくってみた」。FランはFランクの略で、高見准教授は「偏差値が最下層の大学を指す」と自虐的に話す。』
 
さて、
 Fランとは、「Fランク大学」の略称です。そしてFランク大学という言葉が生まれた由来は、河合塾が「Fランク大学」という合否判定ができない大学の分類を作ったことが始まりと言われています。(ちなみに2018年現在、河合塾のサイト上では、「Fランク大学」ではなく、「BF(ボーダー・フリー)」という表現が用いられています。 ボーダーラインの設定基礎となる前年度入試結果調査データにおいて、不合格者数が少ないため合格率50%となる偏差値帯が存在せず、ボーダーラインが設定できなかった場合、ボーダー・フリー(BF)としています。 )
 
背景を見てみると
1992年には大学の校数は523校、大学進学率(浪人を含む)は26.4%でした。
それが2018年になると、大学数は782校、大学進学率は53.3%とそれぞれ上昇していいます。
 大学経営にとって「冬の時代」と言いつつ、廃校した大学はわずか15校しかありません。
 その一方で259校も増加しています。
 
 つまり、進学率は上昇したといっても少子化が急速に進行し、実質の進学者数は見かけほど増えていないわけです。 『大学全入時代』が当たり前となった時代。Fランが生まれた原因のひとつでしょう。
以前のブログで、高等教育無償化について触れました。
記事には、
『 大学無償化法は2020年4月から低所得者層の学生が学費減免と給付型奨学金(返済不要)を受給できる法律です。なお、大学無償化法という名称から大学のみが対象、と誤解されがちですがそうではなく、対象となる学校は大学、短大、高等専門学校、専門学校です。
 専門学校も対象になるのですが、この法律により、大学進学率は間違いなく上昇すると言われています。
 文部科学省資料が引用している「文部科学省科学研究費基盤(B)『教育費負担と学生に対する経済的支援の在り方に関する実証研究』(小林雅之研究代表)『2012年高卒者保護者調査』」によると、世帯年収400万円以下だと大学進学27.8%に対して高卒就職は32.1%でした。
 この調査にはありませんが、学費の高さから4年制大学を敬遠し専門学校進学に変えていることは多くの高校教員が認めるところです。それが条件付きとは言え、大学進学にかかる費用を国が負担するわけで、そうなると、大学を敬遠し専門学校に志望先を変える理由が一つ、なくなります。』
出典:yahooニュース 「「Fランク」専門学校が廃校危機~定員割れ大学よりも高リスクの理由』
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 高等教育無償化など、受験生を取り巻く環境が変化をしています。そのことで、大学・専門学校などのあり方、経営についても大きな影響があるようです。
 
 私たちアドミッションセンターは、大学の日常に様々な魅力的な教育研究が実践されていることを知っています。そのことを、しっかりと地域・保護者・受験生に伝えたいと思っています。
 また、受験生にも納得できる大学選び、進学先の選択をしてほしいと思っています。
 
 大学は奥が深く、可能性が広がっています。その扉をたたくのは君自身です。