2019/6/20

言葉のちから その32

 

言葉のちから   (人との間)

今日、高校に通う息子の柔道の試合がありました。

決勝戦。毎年優勝をさらっていく強豪H高校との対戦です。

 

この団体戦は5人づつの対戦なのですが勝ち抜き戦になっていて、

勝った人が負けるか引き分けまで対戦できるのです。

そして相手チーム5人に早く勝ったほうが勝利となります。

 

先鋒うちの息子。相手は体が倍近くある強豪選手。

3分めいっぱい戦いましたが負けてしまいました。

その後、次峰も同じ相手に倒され、3番手・中堅のうちの大きな選手と対戦しました。

この選手、S君は先にやった仲間が頑張ったのを見ていつも以上に奮起し試合に臨みました。

しかし、相手の体がS君の腕を直撃し、反対側に曲がってしまったのです。

激痛にゆがむ顔。見ているお母さんは顔を手で覆いました。

S君は仲間が頑張っていたから頑張れたと言いました。

 

結果、4人目副将も負けてしまい、我がチーム、残すは大将ただ一人。

相手はあと4人残っています。

大将でキャプテンのO君の目には炎がめらめら燃えているように見えました。

 一人、二人、三人、四人抜き。最後のただ一人を残すまでになったんです。

体はぼろぼろ、もう気迫だけです。

 私の横で腕を負傷したS君のお母さんが祈りながら、

その横ではキャプテンO君のお母さんが涙をふきながら応援しています。

 一本!

 なんとキャプテンのO君は五人抜きをやってのけたのです。

 O君はこう言っていました。

「自分だけだったらとっくに負けていたと思う。おれの前でみんな懸命にやって破れ、 Sは腕が折れてもがんばった。

 最後におれはみんなに支えられていた。その思いだけ。その思いで勝つことができました」

みんな泣いていました。初優勝です!

自分「一人」では無理だけど、ともにベストを尽くしたみんなの「前」だから

がんばれる。そんなふうに感じられるようになったら、「一人前」なんでしょうね。

「人生」人が生きる。

人と共に生きる。

人と友になって生きる。

 

人に支えられていると気づいた時、人は奇跡を起こせる。

人生の醍醐味を教えられた試合でした。