2019/5/16

言葉のちから その5

言葉のちから 【Breakfast】


●寿命を20%伸ばす方法を知りたいですか?

 

長生きの秘訣、実はその答えは現代科学でかなり判明していたのです。テレビ番組で、長寿遺伝子のことが放映されていました。老化の原因となる活性酵素を抑え、遺伝子の破損を防ぎ、個体の寿命を延ばす働きをする遺伝子が見つかっていたのです。

発見したのはマサチューセッツ工科大学生物学部のレオナルド・ギャランテ教授。長寿のヒミツを握っていたのは、サーチュインという酵素群(たんぱく質)で、長寿遺伝子と呼ばれています。 このサーチュインでショウジョウバエの寿命は30%向上、線虫の寿命は50%も増加したそうです。この「サーチュイン長寿遺伝子」は老化を遅らせ、寿命をのばすものですが、この遺伝子を活性化する引き金があったのです。それは、なんだったと思いますか?   なんと!  「少ない食料」だったのです。
 長寿遺伝子は、食事の「カロリー」を制限したときに強力に活性化します。この遺伝子は普段は眠っています。しかし、腹八分の食事で、カロリーを制限したときにこの遺伝子がONになります。
アメリカのウィスコンシン大学でも老化の研究がされています。ほぼ同じ年齢の2匹のアカゲザル(猿)を使った実験を20年もやっています。現在、人間の寿命にすると、70歳を超えている2匹のアカゲザル。しかし、かたや、毛並みもふわふさで顔にツヤがありシワもない。かたや、毛並みはパサついていてお顔はシワシワです。これは僕もテレビで見たのですが一目瞭然の違いでした。
なんで、同じ年齢にもかかわらず、ここまで違うのか。
 答えは、カロリーの差だけでした。一方には、一方には適正摂取量しかエサを与えず、もう片方には、ほしがるだけエサを与えました。違いはそれだけ。カロリー制限で寿命がどの程度伸びるのかというと、
ミジンコで1.7倍、    グッピーで1.4倍、  ラット(哺乳類)で1.4倍。
どの動物でも、カロリー制限で寿命がのびています。
人間では直接実験ができないわけですが、2割ほど寿命が延びるのではないかと言われています。
 聖路加国際病院で理事長を務める日野原重明さんは、1911年(明治44年)生まれの101歳で、いまなお現役。日野原さんのお昼ご飯は、牛乳とクッキー2つだけという少なさです。食事は低カロリーが一番であると日野原さんもいいます。年を取れば腹八分目でいいとし、日野原さんはそれよりも1割少ない7割におさめているとのことでした。40代~60代の被験者4人での実証実験では、30パーセント減らした食事を3~7週間続けただけで、長寿を担う、サーチュイン遺伝子が目覚めて働き始めたというデータがでています。小食生活は、3週間で結果が出始めるということです。食べることが悪いことではないんです。ただ、食べ「過ぎ」が内臓に負担をかけてしまうということです。
 断食が体にいいと言われるのは、内臓を休ませてあげることができるからです。
 そもそも、「Breakfast」(朝食)とは、「断食(fast)」を「破る(break)」という意味です。
 ですから、夜8時を過ぎたら翌日までは何も食べないなど、夜食べてから朝食べるまで、できるだけ胃を休ませてあげるのが大切だと「朝食」(Breakfast)という言葉は教えてくれていたのです。
 最後に、永平寺で修行されたイケメン禅僧・星覚さんから教えてもらった食の作法もお伝えしましょう。禅寺では、まず、野菜一切れ、お米一粒がどこからいかにしてここまできたのかに想いを巡らせるそうです。そして、食べるスピードをまわりに合わせ、咀嚼音や食器の音を立てないように静かに胸をはって食べます。この作法を行うと五感が研ぎ澄まされ多くの感覚が蘇ります。味覚も敏感になり淡い味もしみじみ味わえます。ひとつひとつの食材をしっかり味わいながらゆっくり噛めば腹八分でも満腹感がでます。食べるとは、野菜や動物の命を自分のものにすることです。
食べることを、「欲望を満たす行為」から、「命への敬意を表す祈り」へと変えていくのです。

『いただきます。』 そして  『ごちそうさま。』