2019/5/1

「勉強大全」読んでみた!

時代は、「平成」から「令和」へ 
 大型連休の合間に天気も不安定で、日頃時間の取れない読書をすることに。
 これまで高校の進路主任や担任、大学のアドミッションオフィサーとして大学入試に関わり、受験とは? 勉強とは? と伝える仕事をしてきました。
 今どきの受験を若い人たちはどのように捉えているのかを垣間見ることができました。
 
 埼玉県出身 開成高校から東京大学へ 現在は、東大大学院在籍。日本のクイズプレーヤー&YouTuberである、伊沢 拓司さんの「勉強大全」=ひとりひとりにフィットする1からの勉強法=を完読。
 
 いまでも「受験は団体戦」とか「大学は人生のパスポート」、もっと昔の人達は「受験」を「戦争体験」と重ねて指導する先生もいました。模試などのデータが入手困難な時代には、各高校に「受験の神様」と呼ばれる先生がいて、経験と勘を頼りに受験指導をしていたものでした(古すぎる)。
 
 さて本書はまず「受験生」という仕事、「大学はあなたのためにはない」と受験生としての立ち位置や大学と高校の違いについてわかりやすく示してくれます。受験そのものではなく、受験を通して得た経験や対策がその後に人生に役に立つことも。それは「汎用的な経験や能力」ともいえるものでしょう。
受験勉強の方法では、生活時間・ルールの使い方や「信じて、疑って、また信じて」という確認するステップを踏んで勉強法を考えること。最終的には自己責任と書いています。
 
なかでも、「第4章 成績の読み方が視界をクリアにする」は、受験生必読。
 というか、これまで受験指導をしてきた先生方や指導者に皆さんが「受験のキモ」としているところであるけれども、受験生が最も疎かにしている点でもあります。模試の順位の意味、過去問の重要性(なぜ重要かも高校生目線で明快)。これらを筆者は「観測」と述べています。
 
後半の教科ごとの勉強法は、人それぞれかもしれません。
最終章の「合格の先、不合格の先」も、共感するところがたくさんあります。
 
 さて、2021年度入試改革。明治期の教育改革に匹敵するものと言われています。そしてその全容が見えてきました。実感できる変化はそれほど大きなものではないかもしれません。しかし小さな変化が累積することで、後に振り返れば大きな変化であったこと気づくことはよくあることです。
 時代は、平成から令和に変わりました。受験や勉強は半世紀前とどの程度変わったのでしょうか? この本を読んでみて、変わっていないこともたくさんあるし、意識の変化も感じることができました。若い人にとっては受験は必然ではなく「選択」であるということも。受験生は、受験という行為そのものも、受験する大学も「選択する自由」があるのです。山梨大学は受験生に「選択してもらえる大学」であるのか、研究や教育の本当の中身が問われる時代かもしれません。